BEST~third universe~ & 8th AL "UNIVERSE" ライナーノーツ
過去を振り返るというと、少しネガティブな印象を受ける方もいるかと思うが、
自身の未来を想像するときに、過去を悔やんだり嘆くのではなく、過去を知ることはとても大切な作業なのではないかと思う。
例えば、なにかしらの試練が訪れたり、辛い状況に陥ったとき、
現在の状況を招いた過去の原因を認識することで次に進めることがあるし、
怖いもの知らずで昇り調子だった過去と現在を比較することで、
いまの自分に足りない何かに気づくこともある。
2010年に記念すべきデビュー10周年を迎える倖田來未は、
過去4年間のシングルをまとめた3枚目のベストアルバム『BEST~third universe~』と8枚目のオリジナルアルバム『UNIVERSE』が合わさった2枚組のアルバムで、
過去の記憶を甦らせながらも、改めてタフでクールなスピリッツを取り戻し、
さらなる高みへとダイナミックに飛び出す強い姿勢を見せている。
彼女自身は「この2年間はいい思い出があまりないし、なにをしてるんだろうっていう自分への腹立たしさもある」と言うが、
改めてベストアルバムを聴いてみると、そこに停滞の跡は見られない。
ドラマ『ブスの瞳に恋してる』の主題歌としてヒットした「恋のつぼみ」から始まり、
現在でもカラオケチャートの上位に位置するラブバラード「愛のうた」があり、
今やトップアーティストとなった東方神起とのコラボシングル「LAST ANGEL」や世界的な歌姫ファーギー(ブラック・アイド・ピース)とのコラボレーション曲「That Ain't Cool」に、
洋楽好きのリスナーもうならせた「BUT」「FREAKY」「TABOO」といった先鋭的なナンバーもある。
しかも、どの曲もヒットを記録しているのだ。
傍からは順風満帆に見えるのだけれども、
トップアーティストとして先頭を走り続ける彼女の向上心は納得していなかったのだろう。
現状に満足することのない、飽くなき向上心こそが、
消費サイクルの早い音楽業界で未だトップに立ち続けられることができる所以でもある。
そして、オリジナルアルバムのリードトラックとなったロックチューン「Can We Go Back」では、<♪今戻るButterflies>と歌っている。
これは、彼女を一躍スターダムに押し上げ、
彼女を形容する"エロかっこいい"という言葉が社会現象にまでなるきっかけとなった16枚目のシングル「Butterfly」からの引用であるが、
ここには未来へ向けた飛翔の意味も込められている。
そこには、デビューから5年間に及んだ下済み時代の経験がモチベーションにもなった、
過激なハングリーさを今、一度思い起こすんだという決意とともに、
"We"と綴られた歌詞からは、
みんなで一緒に現状を打破しようよというメッセージも込められている。
だからなのか、アルバム全体としての聴き心地は、
ギターアレンジと意思の強さを感じる歌声が突出した、
シンプルでストレートでポジティヴな感情を感じられるロック・アルバムとなっている。
もちろん、根底には彼女の音楽的な本質であるR&Bサウンドが流れているし、
感涙必死のミドルナンバーも収録されている。
だが、華やかなマジック&エンタテイメントショウのサウンドトラック的な要素が強かった前作「TRICK」と比較すると、
生のグルーブを大事にしたバンドサウンドが要所に配置されていることが分かる。
完全に振り切れた強く情熱的な歌声とヘヴィーなギターが、
聴き手の目の前にそびえ立つ現状という名の壁をぶち壊し、
彼女が生の歌声と音で創り出す、バウンシーでスペーシーな世界へと導いてくれる。
ダンストラックとハードロックが真正面からぶつかり合うしなやなかハイブリット感は、
おそらくその後に予定されているツアーでも発揮されることだろう。
そういう意味では、サウンド面における「Butterfly」超えの飛躍はもちろん、
傑作と謳われている07年の『Black Cherry』ツアーを超える、
体感のインパクトの強いステージも期待できる作品である。
全曲解説
1「Step In To My World」
世界や宇宙を意味する「UNIVERSE」という言葉をタイトルに冠にした本作に収められた、まだ見ぬ新しい世界へと誘うアルバムの導入部的な意味合いに加え、続く「Can We Go Back」に連なる壮大なイントロでもあり、SHOWの開演を待つ観客の昂揚感をあおるライブのオープニング的な要素も含んでいる。
2「Can We Go Back」
アルバムのリードトラックとして完全限定生産盤でリリースされる自身46枚目のシングル。ヘッドバンキング必死のハードなロックナンバーで、サウンドも潔くてシャープ。彼女はR&Bシンガーだが、心の叫びにも似た力強くワイルドな歌声をフルに活かした曲を聴かされると、ハードロックとの相性も抜群であることを痛感させられる。
3「SUPER STAR」
アコギのカッティングを基調にしたアップテンポのポップチューン。「あなたのスーパースターになりたい」と願う女の子のふわふわと舞うような恋心が描かれている。何度も繰り返される「I wanna be」というフレーズに、「いつかあなたの側に置いて欲しい」という想いの強さが現れているようだ。
4「You're So Beautiful」
「どんな時でもがんばるあなたは美しい」と歌う、スタンダードな魅力にあふれたミドルバラード。冒頭のアレンジがアコギのリフと手拍子と歌というシンプルなアレンジになっているのは、なによりもメロディが愛しくて切ないから。「超えられない壁なんてない¥><自分に腹が立つ時も自分の道を選んでいく」というメッセージは、涙を流して立ち尽くしている聴き手に投げかけるとともに、自身に言い聞かせる言葉でもあるのだろう。これからの彼女の代表曲となっていく予感がする名曲である。
5「Lick me♥」
個性の違う3曲を集めた夏のシングル「3 SPLASH」収録曲。本人が「キャッチーでカラオケでも歌える曲」と語っていた通り、思わず一緒に手拍子をしながら歌いたくなる、華やかで明るいナンバー。ブレッジでは重めのエレキギターとのデュエットやスペーシーなSEも入っており、軽快なサウンドながらも本作の予兆も感じさせる。
6「Work It Out!」
ポップな広がりをもちつつも、怒りをぶつけるかのようにシャウトするロックナンバーで、働く女子に捧げるメッセージソングでもある。仕事に対して楽しみを見いだせない人に対して、周囲のことを気にするのではなく、自身の未来に目を向けるべきだと歌っている。彼女自身は音楽という仕事を楽しんでやっているが、周りの視線を気にせずに自分の内面を見つめ直すというのは、本作を通して語られる共通のテーマでもある。
7「No Way」
さまざまな音色で彩られたエレクトロ寄りのサウンドのなかから涙とともに浮かび上がってくるのは、クラシカルなピアノの余韻を残す大人のラブソング。真剣な話をしている女子に対し、タバコを吸いながらうわの空の男子。この不穏なムードから逃げ出すのではなく、なんとか気持ちを届けようという姿勢に、27歳になった彼女の恋愛観が表れているよう。
8「Stay」
ピアノのループと打ち込みをベースにした、シンプルだけどチャーミングな愛にあふれたラブソング。「あなたが笑う理由が私であって欲しい」そして「いつも側にいる」というフレーズは、「SUPERSTAR」にも通じる、彼女が恋愛に求める根っこの部分であり、本質でもあるのだろう。片思いの人、恋人同士、夫婦にもおくりたい、愛を告白するバレンタインデーにぴったりの曲である。
9「Comes Up」
メロディアスで明るいポップナンバーでありながらも愛しさと切なさを感じずにはいられないブルージーな魅力にあふれた楽曲。ライブの後半に会場を回り、観客により近付いて歌う姿も想像できるサウンドで、歌詞では「口数が多過ぎて言い過ぎることもある面倒くさいやつだけど隣にいさせて欲しい」と自身の心境を正直に綴っている。
10「Physical Thing」
「Alive」とのダブルAサイド仕様でリリースされた45枚目のシングル。重低音のきいたハードでクールなダンストラックで、強がってるけれども本当は寂しいんだという強がりな女性の孤独な心を描いている。歌詞には大人の彼女だからこそ歌えるセクシーな表現も多いが、身体で感じるヘヴィーなサウンドとよく似合っている。
11「ECSTACY」
ヘビーなギターとメンズの叫びで幕をあける、セクシーな色気が漂うロックナンバー。エレクトロ、ハードロック、R&B……と様々な音楽の要素が内包されており、アヴァンギャルドでユーモラスでもあるが、なおかつポップたりえるのは、彼女のブランド力と見事なセンスによるものだろう。
12「UNIVERSE」
ファットなエレベとクラップによるビートがフィジカルにストレート に響く、彼女の真骨頂ともいるスペーシーなR&B / ヒップホップ系のナンバー。アルバムのタイトルを冠にしている通り、歌詞にはアルバム全体をまとめるメッセージが込められている。 <一度きりの人生を後悔しないためにも前に進み続けていく>という決意表明は、倖田來未というアーティストの姿勢や佇まいを最も象徴するスローガンだろう。
13「It's all Love!」
姉妹の初コラボとして話題となった43枚目のシングルはバンドサウンドによるクールなロックナンバー。歌詞はふたりの共作で、失恋した妹を姉がアドバイスするという構成。ハスキーで独特のくせのある姉と開放的なハイトーンが魅力の妹により掛け合いは興奮度が高い。踊れる姉だからこそ出せるタイム感と妹を支えるタフなグルーヴにも注目して聴いて欲しい。
14「Alive」
映画「カムイ外伝」の主題歌として書き下ろされた45枚目のシングル。監督から提示されたテーマは、ヘンデルのオペラ「リドリヒ」のなかのアリア「私を泣かせてください」に日本語歌詞をのせるというもの。彼女らしい<振り向かずに歩いていく>というフレーズもあるものの、全体としては言い様のない孤独や先の見えない不安が描かれており、オペラが原曲というオーケストラによるサウンドも含め、彼女にとっては新しい挑戦に満ちた1曲となった。
15 BONUS TRACK(2CD、2CD+DVD / 初回盤のみ)
「Moon Crying~Live ver.in taiwan」
ベスト&オリジナルアルバムを発売する経緯&本人コメント
もう気付いたらベストアルバムって約4年ぶり、
恋のつぼみ以降のシングルがもう1枚におさまらないよってくらいあって、
来年ベストアルバムを出そうって話しをスタッフから聞いたんです。
でも自分的にベストってどうしても「振り返る」イメージがあって。
ベストも出したいけど、止まらないでいたいなって思ったときにオリジナルアルバムをやっぱり作りたいって思ったんです。
ベストアルバムとオリジナルアルバムをセットにするっていうことである意味もったいない?というかスタッフには驚かれました。
でも、今年で10周年だし、ファンのみんなにも喜んでもらえるようなことなら出し惜しみしないで、リリースしたい!ってことで今回初めてオリジナルアルバムと、
ベストアルバムをセットで発売することになりました。
オリジナルアルバムは、今までで一番前向きな曲がつまったアルバムになりましたね。
今までの倖田來未、とこれからの進化し続ける倖田來未、
をこのアルバムで聴いてもらえたら嬉しいです。
制作に関する経緯とジャケットに込められた意味
今年の春以降、「良い歌を制作し続けたい」という本人の意思により、
レコーディングを積極的に行っていた。
2010年は10周年を記念してベストアルバムを発売する予定だったが、
「進化し続けたいからオリジナルアルバムも作りたい」という倖田來未本人の前向きな意思をうけて,「ベストアルバム」と「オリジナルアルバム」を1セットにして発表という前代未聞の試みとなった。
タイトルは、「無限に広がる、進化していく」というイメージから付けられた。
1月に限定で発売されるシングル「Can We Go Back」にも「転ぶことを恐れないで走り続ける子供のころのような気持ちを忘れたく無い」というメッセージが込められている。
まさに走り続けている彼女の10周年の最初のシングルにふさわしい内容となっている。
ベストアルバムには「恋のつぼみ」や「愛のうた」など大ヒットシングルを惜しげも無く収録。
「1枚に入りきらなかった」中から、カラオケでも人気の高い曲や、
歌姫Fergieとのコラボ曲を収録。
オリジナルアルバムには2009年発売された実妹misonoとのコラボ曲や、
大ヒット曲「Lick me♥」他新曲を多数収録した自身8枚目のアルバム。
ジャケット写真は「ベスト2」のジャケット撮影と全く同じ場所で同じ時間に同じカメラマンと4年ぶりに撮影。長かった髪を切った倖田來未が、同じ場所でベスト2のアルバムを見ている、という設定。
20代前半だった彼女も20代後半になり、冷蔵庫が大きくなったり、
飲んでいるのが牛乳からコーヒーに変わったりと4年間の変化が伺える。
看完翻譯的感想!
Step In To My World
感覺很讚耶!!雖然是INTRODUCTION,感覺不輸Trick!!
SUPER STAR
是輕快的曲子呀,我第一次看到歌名的時候,還以為是那種超搖滾的音樂!!
嘻嘻嘻,組長唱輕快的一樣迷人啊。
i wanna be……不停的重覆,我對這首曲子有更多的想像了!!
You're So Beautiful
『預感這首歌會成為她代表曲的名曲。』一定很讚啊這首歌,吼!!好想聽耶!!
這首曲子以木吉他和手打拍子為開頭編曲,又是中板抒情……
對我來說,期待度大增!!耶!!!
No Way
看到這首歌的詳解之後,突然想到12連發中的Lies。不知道為什麼,哈哈!
Work It Out
感覺跟Can We Go Back一樣。
文中有提到怒吼耶!!!耶耶耶!!是Rock耶!!!
UNIVERSE
看到『一直向前』,感覺可能跟『Walk』有像到。
這首歌我也是超期待的!!!
最後!!
10週年的精選組長一定不會讓大家失望!!!
呀~~~還要等多久,好想馬上買到UNIVERSE喔!!!
然後拼命的狂聽啊!!!!來個UNIVERSE轟炸!!!哈哈哈
關鍵字:倖田來未、third universe & 8th AL "UNIVERSE"